バイク乗りであれば、誰もがガレージライフに憧れますよね。何と言ってもそこには究極のライダー生活の楽しみがありますから。第二回目の今回は、KIICHIRO(きイチロー)さんのガレージです。
「アメリカ人はなんてバカな車を作るんだ!?」そんな衝撃からアメリカの乗り物がある生活が始まりました。アメリカ生まれのハーレーを手に入れるまでのストーリーは、いかにもアメリカンクレイジーな要素が感じられます。
今回はどんなガレージライフに出会えるでしょうか?
この記事でわかること
1. バイクガレージの風景
ガレージライフを送るきっかけになったのは、『アメ車』でした。アメリカ人の乗り物に対するクレイジーな発想に驚き、憧れ、そして夢を一つひとつ叶えたきイチローさん。
まず最初に目に飛び込んでくるのは、この筋肉質なボディーで迫るコルベットです。彼の人生は、このクルマから大きく方向転換を始めます。
1-1. 1982年式コルベット

「アメリカ人はなんてバカな車を作るんだろう?!」当時30代のきイチローさんはアメ車に度肝を抜かれ、そして魅了されていました。「いつか乗ってみたい」そんな憧れを胸に、1997年ついに手に入れたのは、V型8気筒OHV 1982年式『コルベット』でした。
「実はこれ、ある有名俳優さんが乗っていたんです。」乗りたいと思っていた車を手に入れるために全国を探したところ、三重県でようやっと見つけたコルベット。
三重県の自動車屋がアメリカから買い付けてきた車を、駆け出しの俳優さんが乗っていましたが、一躍有名になり別の車に乗り換えることに。そこでもともと仕入れた自動車屋が買い戻し高値で売れるはずだったそうです。
しかし、長い間売れずに眠っていたコルベットはついに新しいオーナーを見つけます。
1-2. YAMAHA V-MAX

「このV-MAXは通勤手段です。」日常の足となっているV-MAXを目の前に和かに語るきイチローさん。
ゼファー400でバイクデビューしたものの、リッターバイクに乗る仲間のツーリングに行くたびに不便さを感じ、手に入れたV-MAXは職場までの道のりを往復します。
1-3. YAMAHA セロー

「これは山に入り行く時に乗っています。たまたま安かったので手に入れました。いいバイクですよ。」ふと林道を走りたくなった時、94年式のセローで、通勤とはまったく異なる山道を駆け抜けます。
1-4. HONDA TL125 BIALS

道なき道を走るトライアルマシンとして登場したホンダのバイアルス。「僕はそんな岩の上を走ったりする技術はないんですけど、探していたところ、いいのを見つけたので引き取りました。」
程度のいいものが見つからず苦労してやっと見つけたレアなバイクですが、仲間と林道を走る時には気前よく貸し出しともに楽しい時間を送ります。
2. 家が欲しいわけじゃない、ガレージが欲しかった

「家は雨風しのげればいいやと思って。とにかくガレージが欲しかったんです。コルベットとハーレーを並べるために。」
しかし、ガレージを作るにはいろいろな条件が必要でした。新築で購入するには、土地代と新築費用で大きな金額を必要とします。中古物件を探そうにも、ガレージを作れそうな物件は以外と簡単には見つからなかったと言います。中古物件では、どれもガレージを立てられるだけの余裕があるスペースがありませんでした。
2-1. 庭を掘り、ガレージを作った大掛かりな工事

7ヶ月間探し続けて、見つけた物件の庭についにガレージを作ります。ガレージを作るために、まず基礎作りから始まりました。60cm掘り15cm厚になるようコンクリートを流し込み、基礎が出来上がります。そこにシャッター付きのガレージを設置しました。
「中古物件で、ガレージを作れる物件って本当にないんです。だって先に家が建ってるでしょ?そして、このコルベットを入れるとなると近所の迷惑になっちゃいけないし。」
それでも思いは形となり、また夢が一つ叶うことになりました。
2-2. 無機質なスチールガレージ、中の壁板はDIYで温かみを
無機質になりがちなスチールガレージに温かみを持たせるために、自ら板を貼り付けて完成させています。「ホームセンターに通いつめましたよ。」スチールといたの間に断熱材を入れ、床の塗装も自ら手がけています。
3. コルベット、ハーレーで人生が変わった

3-1. 平凡な毎日から抜け出した30代
普通にサラリーマンになって、夜な夜な飲み歩く日々。いわゆる”平凡”な生活が38際ぐらいまで続いていました。車も好きではあったものの、お金をつぎ込むほどの情熱ではありませんでした。しかし、ある時『遊びのクルマ』が欲しいと思い立ち、コルベットを手に入れます。アメリカからやってきたこの遊びクルマこそ、人生を大きく変える存在となります。
アメ車を手に入れたことによって、「これまで飲み歩くことが中心だった人生から、いきなりクルマ中心の生活になったんです。」
クルマの仲間とのつながりなど、そうした横のつながりでライフスタイルがガラリと変わります。
「こうしたライフスタイルが変わることによって、ガレージが欲しい、そしてハーレーが欲しいと思うようになったんです。」
3-2. ハーレー探し開始
早速中古のハーレー探しを開始します。しかし、またしてもアメ車に驚きを隠せなくなります。
「いやぁ、ハーレーって中古バイクで200万超えるでしょ?僕は普通のサラリーマンですから驚きましたよ。」
それでもコルベットとハーレーのある生活を求めて、ハーレーを探し続けました。しかし、100点満点のハーレーには出会うことができないでいました。
「80点までOKなんです、でも残り20点が気になり購入に至らなかったんです。」
そうして、ハーレー探しを初めてから数年が経とうとしていた時、ある雑誌で見かけたのが『Harley-Davidson Breakout CVO』でした。
3-3. 2013年式 Harley-Davidson Breakout CVOとの出会い
写真:CVOカラーに合わせて、ヘルメットを特注ペイント。
雑誌ではブレイクアウトがデビューする内容の記事で「おぉ、これは好きかもしれない」そう感じたそうです。
それから半年後、本物の車両くらいお店にあるだろうと安易な考えでハーレーのお店向かいました。しかしそこに実車はありませんでした。
しかしお店でさらにアメリカカルチャーに驚くことになります。
「それでもと思い、購入について相談していたら『ということでしたら、こちらの注文書にご記入を』そんな話から始まったんです。実車を見ても触れてもないのに注文書を書かなきゃいけないってどいうことだ??」
日本人の発想とは全く異なるアメリカの文化にまたしても衝撃を受けます。
CVOは限定モデルになるため、購入するにはまず受付をする必要があったのです。それでも中には手に入られない落選する人もいます。
「見てもないし、買えるかどうかもわからなかったんですけど、注文書を書いたんです。」
2013年にデビューを控えていたそのCVOは、2012年12月に注文書を書いてもなお、ハーレーのショップからは「もしかしたらもう遅いかもしれません。でもまぁ、買えるようならまた連絡しますね。」と言われ返事を待つことになりました。
そして3月、やっとショップから一本の電話が入ります。「”もしかしたら” 買えるかもしれません。」裏を返せば、『買えないかもしれない』電話だったのです。
「『ところで、キャンセルはされますか?』なんて聞かれるんですけど、キャンセルはしなかったんですよね。」
そして2ヶ月後の2013年5月、また電話がかかってきます。「買えますよ!」これでやっと手に入れることが明らかになった瞬間でした。
しかし、実物を未だに目の前にしたことのないバイクであることには変わりはありません。
ハーレーショップの担当者はそこで思い出したように「あ、でも8月頃になりますけどいいですか?その頃は、2014年モデルがちょうど公表されますが、、、どうされますか?」
ふと次のモデルに意識が行きながらも「いいですよ、このデザインが気に入ってるのでお願いします。」
そうして1年以上も温められた注文書がようやっと実物として届きます。アメリカから届いたブレイクアウトCVOがいよいよ箱から取り出される瞬間を迎えることができたのでした。
3-4. ハーレーに乗ると、急がない生き方ができる

「V-MAXも好きですし、そしてハーレーも好きです。でもハーレーにはある種の独特の乗ってみなきゃわからないフィーリングがあります。何より、ハーレーに乗っている人は本当に様々で、いろんな仲間とのつながりが僕の人生を豊かにしてくれたんです。」続けて「それにハーレーを所有することによって、急がない生き方を教わったと思います。急いで乗れるものでもないですしね。」
日々の生活、仕事などに追われいつの間にか自分を忘れていたとしてもハーレーに乗り、仲間と走るうちに、時間を気にせず走れる自分がいる。その時間こそハーレーの魅力はあるとも言えるでしょう。
「僕の周りにいるハーレー乗りって、夢はあっても欲張りじゃないんです。」
いい大人になってもまるで子供のように夢を語ること、自然体でいることが許される場がハーレーにはあるのかもしれません。
4. ガレージライフに漂う音楽
「世の中には豪華絢爛なガレージもあるのですが、僕のはスチールガレージです。でも、ここで楽しめる空間があることで満たされるんですよ。」このガレージでは、時間を見つけてはバイクをいじり、好きな音楽を聴き、そして仲間と集います。目的はただ楽しむこと、それだけで幸せな時間を過ごすことができます。

写真:おもむろに棚に並ぶCDを手に取り、音楽を流し始めた。
ガレージ内に響き渡るエルビスの歌声は陽気にビートを刻み、時間を忘れさせてくれます。 バイクアイテムを探す
5. ハーレー乗り秘密のツーリングスポット
誰にも教えたくない秘密のツーリングスポットを尋ねてみました。「秘密ってほどじゃないですよ。でもあの道は気持ちがいいのでよく走っています。」
5-1. おすすめのルート
「道の駅『キララ多伎』から出雲大社までのくにびき海岸道路ですね。この海岸線のルートが最高です。」
(画像元:神々のふるさと山陰 )
5-2. 出雲おすすめの食事処
「出雲そば羽根屋にいきます。その近くに荒木屋と言うお店もあって美味しいんですが、混雑しているんです。羽根屋も好きでよく行きます。」
出雲そば羽根屋


(画像元:出雲そば羽根屋)
住所:島根県出雲市浜町520
電話:0853-25-0312
出雲そば荒木屋

住所:島根県出雲市大社町杵築東409−2
電話:0853ー53−2352
編集後記
普段はサラリーマンとしてコンピューター関連の会社に勤務するきイチローさん。アメ車に憧れ、手に入れたコルベットから人生が変わるストーリーからは乗り物が人生に与えるインパクトの大きさを感じます。そして、ガレージにコルベットとハーレーを並べたい、そんな思いからガレージ中心の家探し、そして長い時間をかけ海を渡ってきたハーレーダビッドソンブレイクアウトCVO。クルマ・バイクを通じて築かれた交友関係も今のライフスタイルには欠かせない存在になっています。

実は、過去に大きな病気をされたことがあったそうです。その時に励みになったのはやはりクルマ・バイクだったと語っていました。「完治して、また乗るぞ。」写真をみながら闘病生活を送り、そしてまた自由を手に入れたきイチローさんのインタビューでした。
取材に応じてくださったきイチローさん、ありがとうございました!

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バイクを手に入れると、カルチャーを身につけることになる。人生に新しい風が吹くって気持ちいいぜ。
– ハーレー仙人 –
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