ハーレーリジッドフレームの魅力を徹底研究!

美しいシルエットにハードな乗り心地。ハーレーマニアには欠かせないリジッドフレームの歴史、種類、メリット・デメリット、公認車検など気になるハーレーリジッドフレームを徹底研究!

 


1.  リジッドフレームとは?

 


(画像元:PAUGHCO

英語では、『RIGID』と綴りますが、その響きから「リジット」と呼ばれることも多くあります。正式には『リジッド』と表記します。ここではリジッド表記を採用しています。

現代のバイクの後輪には衝撃吸収用のサスペンションが装着されていますが、サスペンション機能がないフレーム構造をリジッドフレームと言います。リアサスペンションがないことから、その乗り心地は固く「ハードテイル」と呼ばれるほどです。ハードかつスパルタンな乗り味が特徴です。

しかし、ヴィンテージハーレーならではの構造でハーレーカスタムマニアに非常に人気があります。まずはハーレーにおけるフレームの歴史から見ていきましょう。

 

1-1. ハーレーリジッドフレームの歴史〜ソフテイルに至るまで〜

ハーレーダビッドソン・オートバイのフレームは、バイクの「骨格」として機能します。しかし、ハンドリング、剛性(rigidity)、パワートレインパフォーマンスなどの特性、その上乗り心地さえ、フレームに左右されるのです。ウイリアム・S・ハーレーとアーサー・ダビッドソンは、同社の歴史を通してオートバイフレームの改変が行われるとは、ほとんど想像できなかったことでしょう。

1901-02年

ウイリアム・S・ハーレーとアーサー・ダビッドソンは、自分たちが乗る原動機付き自転車を、実験的に製造しました。その自転車のフレームは、たいへん小さなエンジンしかつけることができませんでした。この時はまだ、トルクもパワーもごく小さなものでした。

 

1903年

後のインタビューでウォルター・ダビッドソンが語ったところによると、ダビッドソン兄弟は、もっと大きな単気筒エンジンでやり直したのですが、それには新しい動力装置に対応する新型フレームが必要でした。ロット生産された3台が、初めて販売されたハーレーダビッドソン・オートバイでした。フレームは「ループフレーム」と呼ばれることがありました。


(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1912年

ハーレーダビッドソンのフレームは、座席位置を下げるため、デザインを変更しました。今度のデザインでは、ガソリンタンクの形状も変えました。

(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1919年

Wモデル(「スポーツ」モデルとも呼ばれる)は、最初に全面的にリニューアルされたフレームで、「キーストーン」デザインを採用していました。オートバイのエンジンが、シャシー全体の補強部品として機能するものでした。このモデルは、1923年式モデルまでしか生産されませんでしたが、ヨーロッパのバイヤーには人気がありました。


(画像元:Harley-Davidson Museum

 


(画像元:Harley-Davidson Museum

1925年

革新的なフレームがミルウォーキーから世に出た年でもあります。元々はローダウンされたシートに対する顧客やディーラーの意見に対応するために作られたものでしたが、結果としてハンドリング性能が向上し、より洗練されたオートバイへとつながっていきました。新しく登場したこのフレームは「 Stream Line (流線形)」の特徴が売りとなりました。

(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1920年代と1930年代初期

2気筒モデルも単気筒モデルも、シングルダウンチューブフレームを使い続けていました。

 

1936年

全く新しいEL(または「61」)モデルは、ハーレーダビッドソンにとって多くの新しい特徴を取り入れていました。ハンドリング性能とパワートレインの剛性(rigidity)を向上させるダブルダウンチューブです。


(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1936年は、ナックルヘッドエンジンがデビューした年でもあります。ナックルヘッドエンジンを載せたフレームとして、『ナックルフレーム』と呼ばれています。

1937年

WLモデルがデビューし、1952年まで生産されました。フラットヘッドエンジンを搭載し、『スポーツソロ』の愛称で呼ばれていました。WLに使用されたフレームの特徴は、『グースネック』と言われるネック部分、そしてガソリンタンクのラインに合わせた美しいネコ背ラインです。エンジンをたった1本で支えるエンジン下回りのシングルクレードル、リアタイヤはアクスルシャフトを緩めるだけで脱着できるメンテナンス性能の高さを考慮して作られています。ただし、フレームの形は、DL(1929-1931年)モデル、Wに変わる前のRシリーズ(1932-1936年)からの延長線上にあります。この年代はシングルクレードルから、上記ナックルフレームのダブルクレードルに進化していく岐路にあたります。


(画像元:Harley-Davidson Museum

写真はWLAモデル。戦時中はWLモデルが軍事用として採用されていました。WLAの『A』はArmyの頭文字です。

 

1952年

全く新しいKモデルが採用したのは、リアサスペンションとスイングアームを取り付けられる初めてのフレームでした。Kフレームは、Kの後継モデルである1957年式スポーツスターの土台になりました。リジッドフレームからサスペンンションの時代になります。


(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1958年

新しいデュオグライドモデルが、ビッグツインにリアサスペンションをもたらしました。このモデルは、後に「ウィッシュボーン(叉骨:さこつ)」と呼ばれる新しいフレームデザインを導入しています。「ウィッシュボーン」とは、バイクの先頭部分で二本のダウンチューブに枝分かれしているひとつの補強セグメントのことです。


(画像元:Harley-Davidson Museum

アメリカ文化において、ウィッシュボーンとは縁起の良いものです。クリスマスに食す七面鳥の骨、とりわけ叉骨は幸運の儀式に使われてきました。その他お守りのモチーフにもなってきました。

 

1977年

全く新しいXLCRカフェレーサーは、英国におけるカフェレーサーの流行に応えるため創り出され、全く新しい三角形のフレームを取り入れました。そのフレームは後に、1979年式スポーツスターモデルに使用されることになります。

(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1980年

全く新しいFLTツアーグライドは、フレームマウンテッドフェアリングとゴム防振装置つきエンジンを採用した最初のツーリングハーレーでした。

 

1982年

特徴的な三角形のデザインを持つ全く新しいFXRフレームは、スムースな乗り心地のために三点エンジン防振支持を採用しました。このFXRデザインは、1999年式FXR2のCVO誕生とともに戻ってきました。


(画像元:Harley-Davidson Museum

 

1984年

FXSTソフテイルが登場します。かつてのリジッドフレームのような外観ですが、実はスイングアームデザインが採用されリアショックをオートバイの下に隠してあります。


(画像元:autoevolution.com

バイクが生まれた時のシンプルな外観からくる美しさがソフテイルにより蘇りました。オートバイは機能性だけではなく、ある種の審美眼を持って生まれた造形美が必要だったのです。

 

1-2. リジッドフレームが採用された車種モデル

Harley Davidson DL:1929年


DL(画像元:YESTERDAYS

 ファーストモデルでダブルヘッドライトと4つのマフラーが特徴です。

 

Harley Davidson VL:1930-1940


VL(画像元:YESTERDAYS

74キュービックインチの1200ccエンジンを搭載。シングルクレードルに重たい1200ccを搭載したためフレームが折れてしまうこともありました。かつて日本で販売されていた陸王のベースモデルでもあります。


陸王(画像元:Wikipedia

 

Harley Davidson UL:1936年~1945年

80キュービックインチの1340ccエンジン搭載。ハーレー社のサイドバルブエンジンの最大排気量を誇りVLモデルではよく折れていたシングルクレードルからダブルクレードルへと変更しました。

クレードルフレームとは、「ゆりかご」を意味し、フロントフォークの支点から、後輪のスイングアームの支点を、エンジンを取り囲むように上下にパイプを走らせたフレームを言います。エンジン下部にまわるダウンチューブが一本のものを「シングルクレードル」、2本のものを「ダブルクレードル」、途中で1本から2本に変わるものを「セミダブルクレードル」といいます。

フレームに求められたのは、軽量化と剛性のバランスでした。この時代に既にフレームの研究が進んでいました。

UL (画像元:HOWSTUFFWORKS AUTO

Harley Davidson WL:1937-1952

ベビーツインと呼ばれる45キュービックインチ750ccのエンジンを搭載。グースネックフレーム、シングルクレードルはハーレーの象徴モデルでもあります。


WL(画像元:YESTERDAYS


WLA(画像元:YESTERDAYS

 

Harley Davidson KR:1952年~1969年

744ccサイドバルブエンジン搭載。良くしなるダブルクレードルフレームで時速240キロを記録しました。ロードモデルのKRTTはリアサスペンションがついていますがダートモデルはリジッドフレームのままです。


KR(画像元:Wikipedia


KRTT(画像元:EatSleepRIDE

 

 

Harley Davidson Servi-Car :1932年~1974年

WLAの750ccエンジンが使われ、タフで小回りが効くので交通ポリスにも使われました。


(画像元:YESTERDAYS

 

2. リジッドフレームのメリット・デメリット

2-1. リジッドフレームの乗り心地について

現代のサスペンション技術を考えればリジッドフレームの快適性はゼロに等しいかもしれません。それでもなお、リジッドフレームにこだわるライダーがいるのは確かです。本当に乗り心地は悪いのでしょうか?

ガタガタ、ブルブルと車体の全てが振動し、腕、足、腰、触れている全ての場所から振動がダイレクトに伝わってきます。高速になればなるほど、その振動は大きく増幅していきます。

さらにその速度を超えると大振動から微振動へと変わり人間の身体では長時間もちません。現代のハーレーにリジッドフレームが採用されていないのは、この不快な振動を解決してきた結果でもあります。現代の車両を比較対象にすれば当然、乗り心地はいいとは言えません。

しかし、リジッドフレームには魔力が潜んでいて、慣れた時に突然訪れる中毒性の高い感覚がリジッドフレームの最大の魅力です。

腕や身体にダイレクトに訴えかけてくる振動、そこから生まれる臨場感、露骨に伝わって来る路面情報身体に響き渡る暴れるパワー、バイクから放たれる全てのエネルギーを感じ取ることができるのです。

 

2-2. リジッドフレームの気になる耐久性

ダイレクトな衝撃を受けるリジッドフレーム耐久性能はどうなのでしょうか?地面からの衝撃をもろに受けるためバックミラーや電気系トラブルは必ず起こります。

レプリカフレームや加工フレームであれば、塗装の質や溶接の状態や技術力の違いで耐久性に大きな差が生まれます。信頼できるメーカーやショップ、メカニックを選ぶことが大切です。

 

3. リジッドフレーム車両登録のプロセスを詳しく

3-1. 輸入した場合の必要書類について

リジットフレームのハーレーは旧車に当たるため、日本国内に流通しているハーレーでは納得のいく車両が見つからない場合には現地から輸入という手段があります。

ハーレーダビッドソンが製作したリジッドフレームは1958年までです。製造年が1958年までの車両であればハーレーダビッドソンという車名での車検証になります。

1959年以降に製作されたリジッドフレーム車はハーレー社の車両識別番号である『VIN』がフレームに打刻されている場合でも車名が『不明』となります。

もし海外から輸入したハーレーを日本の公道で走らせるには、車検に合格しナンバーを取得する必要があります。どのようなプロセスなのか、順に説明します。

まず用意する書類は次の通りです。

 

①所有権証明書

ピンクスリップと呼ばれるアメリカの車検証に当たるものです。ピンク色のためピンクスリップと呼ばれています。

②自動車通関証明書

③並行輸入自動車届出書

自動車技術総合機構のページからダウンロードできます。並行輸入自動車関係の(C)の第1号様式はこちら

④車両諸元概要表

並行輸入自動車関係の(C)の第4号様式はこちら

⑤総排気量計算書

並行輸入自動車関係の(C)の第9号様式はこちら

⑥外観写真(前後、左右、排気量表示部)

⑦諸元が正しいと判断する資料

以上の7点を揃えて、車検場検査レーンの検査官へ提出します。車検が終わる時間の16時~17時の間に受け付けてくれます。

最寄りの陸運局は国土交通省HPから探すことができます。

なお、審査には2週間ほどかかります。書類審査が通れば、ハーレーを車検場へ持ち込んで検査レーンで実車確認を受けてOKが出るとナンバーをつけて公道走行が可能になります。

 

3-2. リジットフレームに交換した時の登録『職権打刻』について

車両は、フレームに刻まれている車台番号で管理されています。もしこの番号がなければ登録は不可能です。盗難により、この車台番号が削らている場合などには、新たに車台番号が刻まれる仕組みになっています。これを職権打刻と言います。

新たにフレームを組んだ場合には。当然番号がないので職権打刻の手続きが必要になります。

リジッド・フレームに加工されている等、車台が車台の製作者により製作されたものと判断できない場合であって、車台の製作者が特定できないため車名が「不明」になるときは、車台の打刻の有無にかかわらず、国土交通省による職権打刻が必要になります。

引用:自動車技術総合機構

 

4.リジッドフレームの値段

 

現在アメリカで販売されているレプリカのリジッドフレームを確認していきましょう。

V-Twin社製、パウコ社製、クラフトテック社製のレプリカリジッドフレームが入手しやすいです。気になるお値段を確認していきましょう。

V-Twin社製:VT No: 51-1948 Replica Wishbone Rigid Frame


(画像元:V-Twin Manufacturing )価格:1280ドル

1948年~1954年まで採用されたナックルフレームを元に美しく蘇らせたモデルです。

 

PAUGHCO社製:SWEDISH-STYLE STRAIGHT LEG RIGID FRAME

(画像元:PAUGHCO ) 価格:1447〜1681ドル

ショベルヘッド、エボリューションエンジンが搭載できるフレームです。

 

Kraft Tech 社:Sportster Rigid Frame

(画像元:Kraft Tech)価格:877ドル

スポーツスター用のリジッドフレームです。その他、タイヤのサイズに合わせたフレームを多数を揃えています。

 

5. リジットフレームに乗るならコレ!オススメのハーレー

ここまででお分かりの通り、旧車に乗るにはあらゆるハードルがあります。車両探しやフレーム探し、場合によってはフレーム制作もあり得るでしょう、そして車両登録手続き。それだけはありません、手に入れたからのメンテナンスもあります。全て自分の手で行う選択肢もありますが、部分的にプロにお任せする方法もあります。

リジッドフレーム調の最新ソフテイルに乗るのが最も安心できるチョイスとも言えますが、それでは旧車の乗り味を体験することは不可能になります。どうしてもリジッドのハーレーにこだわるなら、リジッドフレームカスタムを専門にしているカスタムショップに相談するといいでしょう。

輸入はもちろん、フレーム加工についての技術、さらには登録の手順までプロとして細かくアドバイスしてくるはずです。

美しいリジッドフレームのカスタムマシンをプロデュースするショップがあります。『ゼロエンジニアリング』は日本のカスタムショップですが、世界規模で活躍するカンパニーです。

(画像元:ZERO ENGINEERING USA

 

 

こうした信頼のおけるショップと相談することで、自分の想像をはるかに超える素晴らしい作品作りに携わることも可能になります。

 

まとめ

ハーレーの歴史は、小さな小屋で生まれたエンジンを載せた自転車です。当然サスペンションはありません。自転車のフレームにエンジンが搭載されていました。そこからスタートしたハーレーダビッドソンのマシン。快適性、操作性、耐久性の向上に伴い、より現代にふさわしい形に進化する一方で、古き良き時代のノスタルジーを全身で感じられるリジッドフレームの魅力は未だに多くのライダーを魅了し続けています。

人気のショベルリジッドはハーレー純正モデルでななくレプリカフレームのカスタムモデルとなり車名不明となってしまうため、正式にはハーレーではなくなります。純粋なハーレーを探すには、輸入という手段、ショップへの相談などの手があります。

ソフトな快適さよりもハードな『快感』を好むハーレー乗りには、やはりリジッドフレームが最終着地点になるでしょう。

 


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意味をなさないパーツは何ひとつ存在せず、すべてが完璧に機能することでひとつのマシンが動く。機械仕掛けの物体に命を宿し、そこに美学を発揮する人間の営みの対象として、ハーレーはふさわしい。

– ハーレー仙人 –

もし気にいってくれたら下のボタンを押してくれ。ページのカスタムに勤しむ俺の仲間たちが喜ぶからな。最後まで読んでくれてありがとよ。


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