隣のハーレーガレージ:#003 Johny the Nuckle

今回は神奈川県のガレージライフに迫ります。取材に応じてくれたのは、山崎さん。ある日のハーレーツーリングで声をかけてくれたのがきっかけでした。

「いやぁ、ハーレーはかっこいいねぇ!」

山崎さんがハーレーのかっこよさを知っているのには、理由がありました。ガレージにお邪魔すればその秘密がわかります。

ヴィンテージバイクと過ごすバイクガレージの愉しみがここにあり!?愉快なインタビューレポートをお届けします!


1. ハーレーとの出会いは突然に

:ハーレーに乗るきっかけは何だったんですか?

一番最初は、ショベルに乗っていました。乗り始めたのは遅かったですよ、たしか20代の後半でした。約10年間乗りました。

そこからナックルに乗るようになったのは、ヴィンテージショップに足を運んだときのこと。たまたま『リジッドフレーム』のハーレーがあったんです。そとのきに「欲しいなぁ」と思っちゃったんですよ。

国産のバイクは10代のときからずっと乗っていました。高校のときだから、、、16歳か。しかも無免許で乗ってたんです。

でも18歳で車の免許とってからは車に走っちゃって。もう走りまくりましたよ。あ、暴走はしてませんよ!でも30台以上乗りましたね。

でもやっぱり所帯もってひと段落するとなぜか、バイクの味を思い出しちゃうんです。ある時、車で近くを走っているときに信号にひっかかったんです。

そうしたらね、2台のローライダーが目の前を曲がって走ってきたんですよ。それがかっこよくてねぇ〜〜!

低くてさ、足もこう前に突き出した感じで。あのアングルにシビレちゃってさ。

「こりゃかっこいいぁ〜〜〜〜〜!」って、もうイチコロですよ。

 

:それがハーレーとの出会いだったわけですね。

 

そう。それがきっかけでハーレーに乗り始めたんです。当時乗っていたショベルには、エイプハンガーのハンドルをつけて、鉄棒にぶらさってる感じで乗ってたんです。

で、あるときミラー越しに見えたんです。後ろ走っている車のアベックが僕を指差して笑っているのを。。。

だから世間には決してかっこいいわけじゃなかったかもしれませんよね。まぁ、当時はとんがっていたんでしょう。今でこそ、カスタムには目もくれず純正にこだわって乗っています。

 

2. ハーレーは純正(オリジナル)にこそ価値がある

純正で買った人は大なり小なり一度はカスタムに走るんです。そしてまた、いつかは純正に戻ってくるんですよ。いろいろやっていたり、人が乗っている姿をみているうちに「やっぱオリジナルってかっこいいよな」なぜかそう思えてくるんです。

ショベルの次に乗った最初のナックルは、大阪のあるショップで買ったんです。でも前のオーナーがメッキ好きだったからギンギラギンでした。あまりギラギラしたのは僕のテイストじゃなかった。でもよかったのは、純正度が高かったことです。

 

2-1. アメリカ『デイトナウィーク』でみたハーレー天国

そんなことから、ハーレーの純正パーツを探しに『デイトナ』にいったのがナックルの部品を集め始めた最初のできごとでした。

まず最初に、テールライトの『トゥームストーン(墓石)』を探しに行ったんです。でもそうしたら今度はウィンカーも気になり始めちゃって。

 

:ここまで揃えるのに、どのくらい買い付けに渡米されたんですか?

 

う〜ん、アメリカに3、4回行ったらだいぶ揃ってきたのかな?

 

:毎年行っていたんですか?

 

いやいや、毎年はいかないよ。3年に一回かな。だって、一番最初に行ったときなんて、100万円握っていったんですよ!そうしたら赤字で帰ってきちゃいましたもん笑

 

:ワオ、100万円でも予算オーバーですか!

 

当時まだ若かったんですけど、黒い大きな布製のバッグを持っていったんです。帰るときには60キロくらいになっちゃって。もちろんそんな予定はまったくなかった。しかもそれ機内持ち込みだよ?帰ってきてよく考えたら、あんなのよく持って帰ったたよな、と。だって60キロですよ笑

 

:男性一人分くらいあるってことですもんね。

 

でも重量なんて忘れるほど興奮しちゃってたんだろうね。「こりゃもう絶対持って帰らなきゃいけない!」って張り切って持って帰ったの。

デイトナで買い漁ったパーツはその日のうちにホテルで全部包んでさ。日本から持ってきたプチプチ(梱包材)で一晩中かけて包むのよ。それからアメリカの面白さがわかってきちゃったんだよ。日本にはない、”何か”があっちにあるんだよ。言葉では説明できない何かが。大陸も広くて大きいしね。

だってさ、サッカー場二面、いやもっとか?とにかく広大な土地でスワップミートをやってたりするわけ。

そこでは、コンテナにいろんなパーツを詰め込んできては会場で広げてるんです。それでいて、ぐるっと回ってまた戻ってみるとまた違うパーツが並べられてする。

行く前には、「あれとこれが欲しいな」と一応頭に入れていくんです。思っていたものがないと、コンテナの中まで覗いてみて回りました。

 

:そうやって集まったパーツがこれですよね。

こうやってあらためてガレージ見てみると、まぁよく集めたもんだねぇ。いっぺんに買ったわけじゃなく、時間をかけて徐々に増えていったから極端に驚くほどじゃないけどね。

 

:数十年の積み重ねですから。

 

正味30年ってところですかね。今は2台ですが自分でつくった車両も結構あったんですよ。フレームと腰下エンジンだけ購入して、あとはパーツを集めて完成させてね。最終的には乗りたい方にお譲りしてきたんですが、いや〜大赤字ですよ笑

(写真:WL)

 

で、これがつい先日まで乗ってたサイドカーです。

:それで残っているのは、このナックルとそこのトッパーというわけですね。

 

今ここにあるバイクは2台なんですけど、過去には5台のハーレーが収まっていました。ただ数多く所有してると一台一台への愛情が薄れてしまうので、いまはあえてこの2台に絞ることにしたんです。

 

2-2. ハーレー ナックルヘッドの気になる相場価格!?

 

:ちなみに、ナックルヘッドっていくらぐらいするんですか?

 

おもしろいことにずっと値上がりし続けているんです。純正度の高いナックルは40年代(41~47年)物で600~800万程度で売られています。中でもオリジナルペイントのナックルは1000万円は超えています。社外品の多く付いているナックルは300万から500万位です。

船場モータースさんところで、前のオーナーさんもほとんど乗っていなかった状態のいいナックルがでていましたけど、それで1300万円くらいでした。それだってまだ安いほうですよ。

ナックルで、もっとも価値があるのは1936年式の初期型ナックルヘッドで、2000万円以上しますからね。フェラーリ買えちゃいますよね笑

 

2-3. ヴィンテージハーレーの世界観:旧車パーツの探し方

:本国アメリカではどのくらいの相場なんですか?

 

今ではアメリカの方が高い場合がありますよ。以前はアメリカの方がぜんぜん安かったんです。だからみんなわざわざアメリカまで渡って買い求めてたわけです。

たとえば、日本で1万円するものが向こうでは5千円しなかったんです。

とはいえ、マフラーだって一本状態の良い物で50万~80万円くらいの値が平気でします。中にはクラッシュしてるやつもあるんですけど、まったく関係ないんです。むしろクラッシュしてるほうがいいっていうやつもいるくらいで。

ギンギラギンの新しいものじゃ逆に価値が薄れるんです。なぜかって、70年も経っているわけですから、その70年の歴史が伝わってくるものじゃなきゃいけないんです。

 

:人が使った形跡で歴史を感じられる。アンティーク家具と同じですね。

 

そうなんです。要するに、この古さを感じられないとね。古くて、かつ『純正』に価値があるんです。

 

:社外品であれば今でも作れる、でも当時の純正品はそうもいかない。

 

そう、だから僕らみたいなコレクターは社外品は眼中にないんです。おもしろいのは、スワップミートにいくと、社外品はそこらへんに蹴飛ばしてあるんです笑

 

:最近参加されたスワップミートではどうでしたか?

 

最近はもう行っていないね。最後に行ったのが8年ほど前にいったスワップミート。アメリカのダベンポートってところに行ってきたときの話です。シカゴからプロペラ機でダベンポーとまで飛んで、そこからさらに車で30分ほど走ったところにアメリカ最大のスワップミートが開催されていました。

スワップミートだからスタージスとか、ああいうものじゃないんですけどね。それでも、あまりにも広くて、そしてあまりにもいろんなものがありすぎて開いた口がふさがりませんでした。

ただ、残念ながら欲しいものがない。昔ほどなんでも手に入るような状態じゃなくなっていたんです。むしろネットの方が手に入りやすい、そんな時代になったんです。

もちろん全くない、というわけじゃないですよ。だけどもうほとんどなかったですよね。そして、どんどん年式が上がってるからショベル以降のものが中心となってきてるんです。

 

:もしかするともっと値上がりするまで隠しておく人もいるのでは?

 

あるかもね、でも一昔前はそんなことはまったくなかったですよ。日本人が高値でいくらでも買って行ってくれるからね。

ある旧車専門のグループなんかは、特に日本人、アジア人には絶対に売らないんです。アメリカのバイクだから、アメリカ国外に出したくないっていう気持ちがあるからでしょうね。だから日本人がくるとパーツを隠す人さえいます。

最近は特に、日本での販売価格が高騰してるから、アメリカでもそれに合わせた値付けをしてくる。そうなるとアメリカに行っても安く買えるという感覚はもうなくなってくるんです。ただアメリカの方がまだものが見つかる可能性はありますけどね。

 

2-4. 純正パーツに宿るハーレの歴史

これはみんな当時の純正品なんですよ。

:ワオ、これ何ですか!?

 

パーツとその箱です。今じゃ中身はからっぽの箱だけでも売らてるんですよ。あとはこれらボルトも純正品だけを集めました。

たとえば、これCPボルトって言われているんですけどオリジナルのボルトです。ここに「1038CP」って書かれてるでしょ。1038はその年式以降です。チャンドラープロダクト(Chandler Products)っていうメーカーが作ったものです。もちろん今はもう製造されていないものです。

私のは47年ですのでCP1035を使用しています。

 

:ボルト一本まで純正に仕上げることに価値があるということですね。

 

純正品のいいところは、強度がしっかりしていることなんです。そこらへんにあるボルトとはまったく違いますよ。

僕なんかは、ボルト一つにもこだわっていましたからね。オーバーかもしれませんが、ボルト一つ探すためだけでもアメリカに行きたい!と思ったほどです。

なにしろ作りがいいんです。

 

:汎用品とどう違いますか?

 

例えばね、工具もスナップオンを使えば、寸分の狂いなくピタッときます。もしサイズが同じ違うボルトを使ったらガタつきを感じるのですが、純正を使うとそれがない。

工具もしっかりしたやつ使わないと、せっかく集めたボルトもすぐ頭をなめらしてしまうから。だからスナップオンを使っています。ただハーレー降りちゃったらなんの使い物にもならないですよ!

 

:純正にこだわりたくなる理由が見えてきました。ビンテージの奥ゆかしさも感じられます。

 

イジり始めたら時間を忘れてしまうんです。ここで夜中までごそごそしていると女房から「あんたバカなんじゃないの!?」ってね笑 

 

:奥さんはこの趣味についてなんて思っていらっしゃるんですか?

 

うちのは呆れてものが言えないほどだから、ノータッチです。結婚当初からクルマ・バイクが好きなことは知っていましたけど、でも実際女房にも内緒のものがいっぱいありますよ笑

 

:数え切れないほどありそうです笑

 

女房が聞いたら驚くようなものばかりですが、もう時効です笑 ただ言い聞かせているのは、「俺が死んだときに頼むから、これを千円、二千円で売るなよ」って。

 

:このメーターも気をつけておかないと、奥さんからガラクタ扱いされるのでは?

そうなんだよ。これ同じ1947年のメーターなんですけどね、マイル表示とキロ表示で違うんです。特にこの47年式のキロメーター表示はほとんど存在しないんです。

あまり知られていないことですが、ハーレーの部品で『ガラス類』ってのが実は高値取引されるんです。ヘッドライト、ウィンカーなんかもそうです。

年式によって、ドーム型、フラット型いろいろあるんですけど予備としてこうして保管しているんです。

 

:ガラスは割れちゃうと修復できないですしね。

 

こちらはハーネスなんですけど、こうしてみんな布なんです。

いまとなってはみんなビニール加工されてますけど、さすがにビンテージバイクには似合わないからこれもこうして残しているんです。

ナックルだけじゃなくて、トッパーも結構集めましたからね。当分のあいだスペアパーツにはこまらないようにしています。

 

3. 現役で走る!伝説のハーレー原チャリ『Topper』

 

:ちなみに、トッパーは現役ですか?

 

現役ですよ。音聞いてみますか?

 

あとこれ、笑っちゃいますよ。ちょっとホーンの音聞いてもらえます?

 

:2ストのようですが、燃料は混合ですか?

 

そう、燃料は混合で入れてあげないといけないんです。

 

:分離ですか?

 

分離じゃないんですよ。だから毎回混合したものを入れるんです。だからこのキャップの裏についているこれで計量するんですよ。

だから僕は最初から混合したものを作り置きしています。

 

:当時アメリカの人はどうしていたんですかね?オイル持ち歩いてたってことですよね?

 

そうです。とはいっても日常使いの原チャリですから、遠くにいくわけでもないし家に帰ってから入れても間に合うんですよ。

当時TOPPERは学生に人気があったようです。しかも特に寒い北側のところでよく売れたんです。

 

:なぜ寒い地域で売れたのでしょう?

 

風防というか、足に風があたらないようにフェンダーがあるでしょ?だから寒いところの方が好まれて使われていたようですよ。

逆に暑いところではあまり売れなかったそうです。トッパーは165ccだから本当は日本の高速走れちゃんですけど、パワーがないんです。寒さしのぎが唯一の強みだったとも言えますよね。日本だと、50ccの原チャリにも抜かれちゃいますよ笑

 

:実際どのくらいのスピードがでますか?

遅いと言っても時速60キロくらいはでますけど、国産スクーターと比べるなんてとんでもない。あっという間に抜かされちゃいます。

:ホーンの音には衝撃を受けました。エンジン音の方がデカかったですよね?

 

いやーほんとほんと。あんなセミみたいな鳴き声じゃ誰もどいてくれねぇっつーの笑 

(写真:塗装前のトッパー)

 

意外な事実!ハーレーの原チャリとは?Harley-Davidson Topper

 

4. バイクガレージで過ごす旧車ハーレーライフ

:いつからこんなにハーレーをいじれるようになったんですか?

 

最初はハンドルの変え方ひとつすらわかりませんでしたよ。だから悪名高いバイクショップで変えてもらったことを今で後悔しています。だって、ハンドルをドラッグライザーに変えてくれって頼んだら、工賃とらないかわりにハンドルは預けたままだったんですよ。

純正だから持っておけばよかった!オリジナルってのは絶対にとっておいた方がいいですよ。

 

4-1. ハーレー専門家 サンダンスエンタープライズ 柴崎さんとの出会い

1台目のショベルに乗っていたころはカスタムしたい気持ちが強かったですね。そのころサンダンスの柴崎さんと出会ったんです。

いまでも思い出に残るのは、ショベルヘッドのシリンダーをカスタムをしたことです。当時ショベルヘッドのシリンダーは鉄製でした。柴崎さんのお父さんが金型おこしてアルミ製のものを作ったんです。その一号にしませんか、というものでした。

当時のショベルはすぐオーバーヒート気味になる特性がありました。それが見事に解決され、素晴らしい出来でした。シリンダーにも一番のシリアルナンバーを刻印してもらいました。

 

4-2. 価値が上がり続けるハーレー ビンテージバイク

そのショベルは、あるバイクショップのオーナーに引き渡し、次に手に入れたのがこのナックルです。当時はまだ600万円ほどでした。今でこそ、随分値上がりしましたけど、価値が上がり続けることも旧車の魅力の一つとも言えます。

中でも、36年式は安くても1800万、高くて2500万円の値がつけられるほどの価値があります。

ハーレーがすばらしいのは、古いからいいというだけではなく、作りもしっかりしていることです。特にメッキなんかも分厚くていいもの使ってますよ。

 

4-3. ガレージライフに伴う資金繰りのコツ

:ところで、若い頃にはどのようにして渡米の費用を捻出していたんですか?

 

会社勤めだったので、いろいろ考えながらお金を貯める必要がありました。例えば、通勤費が当時6ヶ月で7万円くらい支給されていたんですが、公共交通機関を使うよりもはるかに安く通勤する必要がありました。

封筒に現金がはいったまま渡されてる時代です。封も開けずに十何年も貯めていたんです。もちろん、賞与なんかもそのままとっておきました。

今でこそ海外に行くには10万以下でいろんなところにいけると思いますが、当時最低でも20万円はかかっていました。渡航費だけでも大変な金額です。当然高い渡航費は支払えないので、団体のツアーを利用することで安く抑えていました。

あとは出張の空き時間ですね。当時勤めていたのは、ハンドメイドの靴屋さんでした。宮内庁御用達の高級靴を取り扱う会社です。そこの手縫課というところに配属されていたのですが、革は海外から仕入れていました。

ある時、会社から仕入前に検品するよう言われ、検査員としてシカゴまで渡りました。仕事は半日で終えてしまうため、残りの時間をなんとか使えないか?そう考えたわけです。

そこで現地の人にこう聞いてみました。「俺はハーレー乗りなんだけど、近くでいいイベントないかな?」そうする「あるよあるよ!」と。

この検品の仕事も1回だけじゃなかった。何度かあったんです。だからその度に仕事を終えて余った時間を有効活用できたんです。

でも今では、もっぱらインターネットでパーツを集めています。

 

4-4. ハーレーパーツに混在する本物とニセ物

:ニセ物にひっかかったりはありませんか?

 

それが散々目で見て触れてきてるから、写真だけでも本物かニセ物かの見分けもついちゃんです。特別な技量でもなんでもないんです。それだけ触れてきた、ただそれだけなんです。

ライセンスプレートのボルトをちょっと見てください。厳密にはトゥームストーン(テールランプ)用のボルトなんですが、このボルトも純正のボルトなんです。このように見えないところまで細かく見ていくと、だんだんどれが本物でそうでないのかくらいはわかってくるんです。

 

:ちなみにこの筒は?

 

書類入れですよ。保険証とかね。後から取り付けたものですが、書類は現地のものです。

 

4-5. 快適なバイクライフのための、奥さん交渉術

 

:多くのバイク乗りは奥さんの理解をえられないのですが、どうしてでしょうかね?

 

それはね、口が下手なんです。

 

:爆笑

 

要するに、バイクに詳しい奥さんなんてそうそういませんし、専門用語を言っても理解してもらえるわけないんです。

たとえば、欲しいパーツがあるとしますよね。そうしたら「あそこの部品が一つなくなって参ったなぁ、ネットで頼もうかなぁ。」と何気なく言ってみるんです。

当然その部品がいくらするかも検討もつかないでしょうから「あら、なくなったの?じゃ買えばいいじゃない。」となるんです。

そんなことを繰り返していたら、いつのまにかこうしてパーツが集まってくるんです。まぁようするに、ペテン師ですよね。

 

:爆笑

 

まぁこれも夫婦の形ですよ。だってよく考えてもみてくださいよ、奥さんの方が僕の上をいってることだってありえるんですよ!?これはあくまでたとえ話ですけど、罪にならなければいいじゃないですか?

変に女性に走ってしまって家庭崩壊させるわけじゃないですから。

あえてもう一つのテクニックをお教えするとね、

 

:まだあるんですか?爆笑

 

あるんですよ。たとえば、スワップミーティングへ奥さんも一緒に連れていくとしましょうか?でもここで買い物の予定があることは一切話さないんです。じゃ、どうするか?まず奥さんから得した気分にさせることです。

アクセサリーのコーナーに連れていって先に何か買ってあげるんですよ。それで喜んだら「俺もなんかひとつ欲しいなぁ」といえば文句は言われません。

 

4-6. ハーレーのシートカスタムはDIY

:こちらのシートもそうやって集めたものですか?

 

これは違うんですよ。実はこれは自分で縫ったものなんです。僕は靴職人をやっていたから、レザーを縫うことなんてお茶の子さいさいだったんです。

ビンテージ乗りの中には当時からの経年劣化が進んだボロボロのシートを好む人もいますが、僕は張り替えたものが好きです。

シートについて語ればまた長くなるんですけど、シートのクッション材に何が使われていたか知っていますか?

 

:何が使われていたんでしょうか?

 

馬の尻尾や、たてがみが使われていたんです。実は中にたくさん敷き詰められていました。昔は今と違って、スポンジが手に入らない時代でしたから動物の毛を使っていたりしたんです。

本当は、ミシンで縫われるんですけど僕はあえて手縫でしています。なぜかというと、ミシンで縫うと縫い目のピッチが細かくなるんです。そうすると乗った時にかかる負荷で糸が皮を引きちぎって抜けやすくなるんです。3ミリ幅を5ミリ幅にしてみたり、手縫ではそうした調整がきくため強度を強めることできるからです。

 

4-7. 遊びも盗難防止も充実させたいバイクガレージ

 

:この部屋はもともと何の部屋だったんですか?

 

ここは、もとからハーレーをいれるために設計したんです。盗難防止も考慮した設計になっています。だから最初からハーレーをイジる部屋にしています。ここでなんでもやっていますよ。塗装もやっていました。タメさんっているでしょ?

 

:ハーレーメカ談義のですか?


そうそう、彼は塗装専門家でもあるからいつも遊びにいっていたんだけど、そうするうちに塗装も覚えちゃって。あのトッパーも自分で塗装したんですよ。

今はさすがに匂いなんかで苦情がきちゃいけないから塗装はしてないけどね。最近は、地域のために貢献したいと思っているんでなおさらね。

 

4-8. バイクガレージで蘇ったヴィンテージのBucoヘルメット

そうそう、このBucoのヘルメット、これも自分でやったんです。

当時入手したときは、ボロボロでしたよ。だから塗装も、中のクッションも縁のレザーも全部遣り替えました。そこまでやる価値があるのは、やはりBucoのヘルメットってかっこいいんです。

実は、顎に向かってシャープになってるんです。横に広がらないから頭も小さく見えてスタイリッシュ。

 

4-9. ハーレーに乗るとなぜかいい仲間と出会える!その理由とは!?

 

:年代物のBucoは初めてです。今はトイズマッコイからレプリカが出ていますよね。

 

トイズマッコイの岡本博さんとも一緒にバイクを見にったり、アメリカでも何度かあっていました。彼もハーレーに長く乗っているし、パーツ探しに協力してもらったこともありました。サイドバルブを製作するときに、ユニティ製のライトボディを譲ってくれたんです。そのお礼に僕もシートを縫ってあげることもありました。

ハーレーにこうして長く乗ると、こうした人間付き合いがいつの間にか形成されていんくですよ。

なぜこうした仲間とのつながりができてくるかというと、昔は現代の洗練されたハーレーと違って壊れることが前提というくらい本当によく壊れるんです。いや、壊してしまうと言った方がよいしれません。ちゃんと整備すれば壊れることはないのですから笑

いずれにしても困ったシチュエーションにおいては、お互いのリソースを持ち寄って助け合うわけですよ。

それこそ昔は道路の真ん中にクルマが止まることなんて当たり前で、そうなったら誰が助けにきたりもします。

誰かきてくれればいいですが、いざとい時には自分でも直せないといけませんよね。そうするうちにいつの間にかイジれるようにもなりますし、自分が知らなければ仲間を頼って教えてもらったりね。

アクシデント、トラブルがごくごく当たり前の時代に育ってしまったから、逆に故障しないのは手持ち無沙汰になっちゃうんです。

決して故障してほしいというわけじゃありませんよ!でも、少々の故障くらいなんてことはないんです。

直せば、バリバリに走りますから。エンジンからオイルがポターンなんか常識ですよ。もし漏れたとしても、「あ、漏れてる、ペロ」ってな具合で舐めるくらいですから。

 

:爆笑 いや舐めはしないですよ笑

 

え、舐めない?だって、漏れてるのがガソリンかオイルか舐めなきゃわかんないじゃない笑 オイル一滴舐めたくらいで死にはしないからさ!

 

5. 『ハーレー乗り』になるために必要なこと

 

5-1. ハーレーが好きだということ=バイクを大事にする

 

:これからハーレーに乗りたいと思っている読者もたくさんいるのですが、これからのライダーに向けて何かメッセージをいただけないでしょうか?

 

古くても腐っててもハーレーっていうくらい、ハーレーが好きってのはみんな同じじゃないですか。

僕はたまたま旧いのに乗っていますが、だからと言って新しいのが嫌いってのも全くないんです。むしろ近年のハーレーはどんどん洗練されてきているし、いい乗り物には違いないですよ。

『ハーレーダビッドソン』という名前に憧れる人もいれば、一発いっぱつの音に惹かれる人もいます。共通して言えるのは、『ハーレーが好き』でハーレーに乗っているということです。

ハーレーが好きということは、手に入れたバイクに対する理解を深めるということだと思うんです。

だからこそ、自分にピタッとくる一台をしっかり見極めるとハーレーの奥深さも感じてもらえるのかなと思います。

 

年式やコンセプト、特性を知ることもそうですし、どんなに壊れないバイクであったとしても、オイル管理に気を配ってみたり極日常的なメンテナンスが大事です。

壊れないから大丈夫、だから放ったらかしでは寂しいですよね。ネジ一本でも触れていれば、バイクのことってわかっていくんです。

バイクの構造もわかれば、チェーンに必要な遊びまで徐々にわかってきます。そうすると今度は、バイクから伝わる異変にも気がつくようになるんです。

こうならなければならない、ということではないんです。要するに、そのくらい大事に乗ってもらいたい、という気持ちです。

 

5-2. 身の丈にあったバイク選び、そして体力作り

カスタムもいいでしょう。ただバイクは所詮走ることが目的ですから、あとで大変な目に合わないように注意も必要です。

僕もさんざんやってきましたからね。だからこそ言えるのは、メーカーが作り上げた”オリジナル”も楽しんでもらいたい。なにしろ、ハーレーってかっこいいんですよ。

 

:だからこそみんな憧れる。それでも年齢や体力を気にしちゃって、一歩踏み出せずにいる人も大勢いるんです。

 

こういうと口が悪いけど、バイクなんてバカでも乗れるんです。最低限の力やバランス感覚はいりますが、バイクなんてバランスさえとってしまえば指一本でも支えられるんです。

アクセルひねったら走ることを思えば、国産でもそれは同じです。ただ一つ、『取り回し』にみなさん苦労されるんですよね。

だからハーレー乗りになりたい!と思ったら、ちょっと筋力をつけるんです。

 

:特にどこの筋力が大事だと思われますか?

 

腕、足だよね。平坦で広い道を走るだけじゃないですからね。筋力意外の部分でいえば、足つきを改善するだけでも随分快適になります。

たまたま止まって足をついた道路が凹んでいるだけでも、足つきがギリギリのバイクに乗っていれば、簡単に立ちゴケしてしまいます。足つきがよければ少々踏ん張ることもできるでしょう。

ちょうど先日の話です。FLHのツーリングモデルに乗っている人が、交差点で車体を倒しちゃったところをたまたま通りすがったんです。一人ではとてもバイクを起こせない様子だったので、思わず駆け寄ったのですが、自分のキャパを超えたバイクを選んでしまうといざという時に困るんです。

だから身の丈に合うバイクを選ぶべきです。カスタムも最初から行き過ぎたものにせず、無理のないフォームで乗れるように調整すれば大きな車両でも以外と楽に乗れるんです。だから、取り回しに必要な最低限の筋力さえあればハーレーは乗れます。

 

:ちょっと待ってください、その腕ムキムキじゃないですか!?笑

いやぁ、これはなぜこんなになったかと言うとね、実はハーレーをガレージの外に出すにはこうやって持ち上げて角度を変えてやる必要があるのよ。

 

:なんですって!持ち上げる!?

 

バイク持ち上げるくらい常識だよ。

 

:そんな常識聞いたことがありません笑

 

ナックルは乾燥重量で250キロだから、後輪だけだとせいぜい100キロくらいにしかならないですよ。だからちょっとしたウェイトトレーニングくらいのもんだよ。

 

:これじゃ普通の人はマネできないじゃないですかっ!笑 

 

いやこのくらい誰でもできるよ。若い頃はもう少し力があって、軽トラックの後ろの荷台を持ち上げウエイトトレーニングしてたからね。

昔そこの道幅が3mほどしかない道路だったころにね、誰かわからないんだけど車を駐車していったやつがいたの。それで頭にきて、バンパーをつかんで引きずって端っこに移動させてやりましたよ。

今考えりゃ車の持ち主もどうやって動いたのかわかんなかっただろうね笑

 

:全く参考になりませんね笑 じゃハーレー乗るために何食べたらいいですか?

 

肉です。僕も還暦を超えているんですけど、年齢ではありません。もしこのハーレーが重いと感じたときに僕はもう降ります。取り扱いに限界を感じたらハーレー辞めます。

 

:この様子だと80歳くらいまでは余裕ですね。

 

それをやんないとね!これはバイクに限ったことじゃないですよ。クルマでもね、怖くなったら辞めなきゃいけないんです。その恐怖感がある限り間違いなく事故起こしますから。

スピードも手に負えない、と頭をよぎるならそれは辞め時なんです。辞めたくないのであればスピードを落とさなきゃいけない。

とは言えハーレーってのはスピードを求めるバイクじゃないはずです。ハーレーVツインの魅力は、「ドッドコ・ドッドコ・ドッドコ」っていうあの歯切れのいい音にあるわけで、みんなあの音に憧れるわけですよ。だとしたら、回転数あげて音が一つになっていくとそこには大きな魅力を感じられないと思います。

時速60キロ前後で走っているときのエンジンの振動とサウンドがハーレー乗りにはちょうどいい、気持ちのいい調和を感じるんです。

ハーレーの何が好きなの?って聞かれたら、やっぱり何と言ってもあのキレのある音、一発いっぱつのど迫力の鼓動感、これにどうしてもシビレちゃうんだよ、て答えるんです。

 

インタビューを終えて

ガレージがある生活はライダーにとって憧れとも言えるでしょう。かといって叶わない夢かというとそうでもなさそうです。

「ネジ一本でも触っていれば、バイクのことってわかるもんです」

山崎さんのこの言葉からガレージライフの愉しみ方がわかったような気がします。つまり、レンチ一本ジーンズのポケットに入れているだけでもガレージライフなのではないかと思うのです。

バイク専用のスペースがあればそれは幸いなことですが、ガレージがないからといってバイクをイジれなかったり、仲間との団欒がもてないこともありません。

またこうしてガレージのある人が招いてくれたり、そこで生まれる交友関係だけでもガレージライフを十分楽しめるはずです。

二つ返事でガレージに招いてくれるフランクさや人情味に触れると、ますますこのハーレーの世界からは抜けられそうにありません。それもガレージ・マジックというものでしょうか?

歴史を振り返っても、偉大なロックミュージシャン、マッキントッシュのコンピューター、そしてハーレーダビッドソンの一号機もガレージから誕生しているわけですから、ガレージライフを送る価値は大いにありそうです。


あわせて読みたい


自作できる!おしゃれなバイクガレージキット9選

バイクガレージ選びのポイントとおすすめを徹底解説!

俺のバイク盗んだのオマエかっ!?最強の盗難防止アイテムでこらしめてやる!

入っときゃよかった!?バイクの盗難保険選びの答え

バイク盗難対策に絶対ほしい8つのアイテム!

隣のハーレーガレージ:#002 KIICHIRO BASE

隣のハーレーガレージ:#001 “MOCHY HOUSE”

 

仲間に対する敬意、そして寛容的なものの見方。バイク乗りの品格はこうしたところに現れる。

– ハーレー仙人 –

もし気にいってくれたら下のボタンを押してくれ。ページのカスタムに勤しむ俺の仲間たちが喜ぶからな。最後まで読んでくれてありがとよ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA