ハーレーのドライブベルトの点検と調節方法

『ベルトドライブ』と、言えばハーレーですね。一般的なチェーンドライブに比べてメンテナンスフリーと言われていますが実際のところどうなのでしょうか?

ベルト自体はワイヤーが編み込まれ、300kg越えのハーレー・ウルトラをつり上げるほどの強度を持つと言われています。

しかし、張り具体が適切でなかったり、異物の噛み込みによって前触れも無く切れてしまうことがあります。

ツーリング先で予期せぬトラブルに遭わないためにも点検方法をまとめてみました。

 


 

1.駆動方式の種類

 

バイクの駆動方式には3種類があります。

・チェーン駆動
・シャフト駆動
・ベルト駆動

一般的なのはチェーン駆動です。スクーターを除きベルト駆動を採用しているのがハーレーです。このベルトはコグド・ベルト、通称『ゲイル・ベルト』と言われ、新時代のチェーンとしてNASAによって開発されました。ケブラー繊維をシリコンラバーでサンドイッチした作りになっています。

 

2.なぜハーレーはベルトドライブなのか?


ドライブベルトを採用する一番の理由はメンテナンス性です。
アメリカ本国では長距離運転が多く、チェーンのように清掃、給油、調整といったこまめなメンテナンスが面倒なことからベルト方式が採用されたようです。

他のメリットとして変速時のショックを吸収し、走行時の静粛性があげられます。

 

3.ドライブベルトの点検方法

基本的にはメンテナンスフリーですが、定期的に張り具合を見ておきましょう。もし基準値を外れているようであれば調整が必要になります。


<ドライブベルトの点検方法>


まずジャッキでリヤタイヤを持ち上げます。
一番ベルトが張るポイントつまりリヤタイヤを回していて一番重くなるポイントを探します。この時、ベルトの裏表に亀裂がないか、ベルトとスプロケットに異物が噛みこんでいないかなども点検しておきましょう。

その後ジャッキを降ろし、車種ごとの計測条件に沿ってベルトテンションゲージで4.5kgの力でベルトを下から持ち上げて張り具合を計測します。


画像:ベルトテンションゲージ(画像元:Harley-Davidson USA

ただし、車種、型式によって数値や測定条件が異なります。サービスマニュアルで規定の数値、測定方法を確認できます。

 

4.ドライブベルトの調整方法

基本的にはリヤのアクスルシャフトを少しだけ緩めて、前後に移動させることで張り具合を調整します。具体的な調整方法はアジャスタースクリューで調整するタイプ、カムで調整するタイプなどあり、車種、年式で異なります。調整後、特に気をつけなければいけないのはアクスルシャフトが進行方向に対して
垂直になるすることです。

スイングアームのピボットとアクスルシャフト中心線の左右の長さ測ることで垂直になっているかわかります。左右の長さが同じになるように調整します。

これがずれているとドライブベルトに余計な負荷がかかり、ドライブベルトの片減りや異音が発生する原因となってしまうだけでなく、ミッションなどへの負担も大きくなってしまうので正確に調整してあげる必要があります。

ここまでの流れをソフテイルを例に見てみましょう。

アメリカの動画ですが同じ流れで説明がされています。

ドライブベルトを取り外す場合は意外と大掛かりな作業となります。ビッグ・ツインの場合、まずプライマリーを分解してケースを外さないとドライブベルトに辿り着くことが出来ません。

スポーツスターの場合はフロントスプロケットのケース以外に場合によってはマフラーを外し、リヤサス、リヤタイヤの脱着をするので作業工程や工具などしっかりと準備が必要です。

ショップで交換を依頼する場合の工賃は車種によっても、また同じ正規ディーラーでもお店によって差が出る場合があります。

 

5.  ベルトドライブ交換工賃

一般的な工賃は目安として、5〜10万円前後です。価格に幅があるのも車種によって工数が変わったり、お店の基準によって工賃が変わってくるからです。例えばベルトだけ購入して自分で交換しようとした場合でも価格は約2万円ほどかかります。メンテナンスフリーで耐久性に優れてはいますができるだけ長持ちさせたい部分です。

 

6.リヤサスペンション調整とベルトドライブ

リヤサスペンションの交換によってストローク量が増えたり、車高が変わることで、スプロケットとスイングアームの位置関係も変化します。

それによりベルトの張り具合の調整が必要になりますのでサスペンションを交換するときにはベルトドライブのことも思い出してください。

 

7.耐久性と交換時期

2,3万キロで切れたということもあれば、10万キロでも切れないケースもあります。切れやすい条件としてスプロケットとベルトの間に小石などが噛み込まれることでベルトが欠けたり、穴が開くことが切断のきっかけにもなっています。

ベルトガードを外すと異物が混入しやすく走行中に切断されるリスクが高まるためオススメできません。

その他の原因としては、ベルトの張りすぎがあります。ベルトテンションゲージで測るのはもちろん車種によって数値や条件が異なりますので愛車のためにもあなたの安全のためにも基準値に基づいて作業を行ってください。

 

8.ベルトドライブ雑学

<右側?左側?異なるベルトの位置>

ビッグ・ツインとスポーツスター系ではドライブベルトの位置が違っていることに気づいていましたか?


SOFTAIL SLIM S


SPORTSTER FORTY-EIGHT
(画像元:Harley-Davidson USA

ビッグ・ツインは車体の左側、スポーツスターは右側にベルトが着いています。というのもスポーツスターは、ミッションとクランクケースが一体形成で、スペースの都合上駆動系を反対側に持ってくるしかなかったようです。


<プライマリーにベルトが採用されていた?>

プライマリーチェーンにもベルトが採用されていたことがありました。しかし、プライマリー側は回転が高く、速度差が大きいためにベルトが激しく揉まれます。また密閉されていることから遊び調整もしづらく、熱もこもります。そのためベルトが劣化する現象が起きすぐにチェーンに戻されました経緯があります。

 

9.ベルトから異音がする!?原因は??

次のような可能性があります。

①ベルトの張りが基準値を外れて緩んでいる
②リヤのアクスルシャフトが垂直になっていない
③スプロケットのサイドプレートにこすれている
④フロントスプロケットの締め付けが緩みガタついている

ベルトドライブは普段のメンテナンスがほとんど必要ありませんが少しでも違和感を感じるようであれば
早めに日頃お世話になっているお店に相談してみましょう。

 

10.ベルトをあえてチェーン化する理由とは?

オーナーの好みのスタイル、またワイドタイヤを履かせるのにベルトだと干渉してしまうからという理由でチェーンにする場合もあります。その他、チェーン化するメリットは減速比が変更しやすくなることも挙げられます。チューニングによってノーマルの減速比が合わなくなってしまった場合にはチェーンは切って長さの調整が可能です。ベルトだとそうはいきません。切って繋げることができないですから。

また、スポーツスターの場合、リヤサスを長くしてストローク量が増えるとサスの伸縮時を想定してベルトを緩めにしなければなりません。そうするとコマ飛びし滑りやすくなってしまうことがあります。

チェーンはスプロケットとの噛み込み量も多く滑る心配を軽減するためにチェーン化するケースもあります。

 

まとめ

ドライブベルトはそう簡単に切れるものではありません。メーカーも自信を持ってメンテナンスフリーを謳っているだけのことはあります。

しかし、異物の噛み込みなどトラブルによって切れるときは突然切れてしまいます。残念がら予測不可能です。その分、メンテナンスフリーであっても注意をしてあげることで十分に長持ちしそうです。

 


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ウィリアムが作った初期のハーレーは、革のベルトで駆動させていた。じっと眺めてりゃ、当時の面影を感じずにはいられない。これもドライブベルトの趣ってやつだな。

– ハーレー仙人 –

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