
バイクは楽しい。それだけに、万が一の事故など想像もしたくもありません。とはいえ、ライダーである以上このリスクから目を背けるわけにはいかないでしょう。
心構えや、予備知識があるだけでも助かる命はあります。今回は救急車を要請するときの流れについておさえておきましょう!

1. 交通事故にあったときの、119番通報マニュアル!
交通事故に遭遇した場合に、ケガ人がいる場合にはただちに『救急車』の要請をします。とくに家族や仲間が事故にあった場合は、抑えられない感情と浅く早くなる呼吸をコントロールするのは非常に難しいでしょう。パニックとなり『とにかく急いで来い!』と怒鳴り声で叫びたくなります。
ただし本当に最速最短で来てもらうには、無駄なく情報を伝えることが肝になります。次の流れで、正確に情報を伝えることで、救急隊員もより正確に判断することができます。
救急隊が知りたい情報は、おおきく4つです。
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火事なのか、救急なのか?
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場所
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状況
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通報者の名前・連絡先
これらを意識して通報するとスムーズになります。多くの消防指令センターでは、会話をしながら出動指令がだされています。場所、意識や呼吸の有無などある程度の情報がわかった時点で早急に救急車を手配します。
119番通報!最速最短で救急車に来てもらう要請の仕方
まず、慌てず『119番』通報します。
消防署:「はい、消防119です。火事ですか、救急車ですか。」
あなた:「救急です。」
消防署:「場所はどこですか?」
あなた:「〇〇町△△、××ビル前の交差点です。」
※土地勘のない場所の場合は、信号機に取り付けられている地名、目印となる建造物などから情報を拾っていきます。
消防署:「救急車の必要な人のお名前と年齢はわかりますか?」
あなた:「わかりませんが、40代男性1名と70代女性1名、合計2名です。」
※家族や仲間であれば、そのまま伝えます。
消防署:「どうしましたか?」
あなた:「右直事故で、車とバイクの衝突事故です。」
消防署:「どんな様子ですか?」
あなた:「バイクに乗った40代男性は、倒れたまま動かず、意識、呼吸ともにありません。顔面を打ち付けた様子で流血しています。70代女性は流血はありませんが、頭をうちつけ痛がっています。」
消防署:「救急車を向かわせています。あなたの名前と連絡を教えてもらえますか?」
・・・
ここから先は、現場でほどこせる応急処置、交通整理などシチュエーションに応じた指示がなされます。消防署の指示にしがたい、行動しましょう。
2. 交通事故にあったときの応急処置について
事故現場でケガ人があった時には、『119番』通報をしますが、救急車が到着するまで平均8分と言われています。
都心や消防署から著しく離れたばしょでは、それ以上の時間がかかることが想定されます。救急車が到着するまでの間に、応急処置が求められる場面があります。
まず、応急処置に入る前に、けが人や状況について観察し即座に判断を下すために確認する項目があります。
2-1. 交通事故でケガ人を発見したら最初に確認するべきこと
ケガ人が倒れている場所が危険ではないか?
二次災害は常に潜んでいます。ケガ人はもちろん、救護にあたらる人間の安全も確保しなければなりません。
二次災害のリスクとして
- 通行車両の往来
- ガソリン漏れ
- 薬物・毒物運搬車両からの危険物質の漏れ
- 火災やエンジンやマフラーの熱による火傷
- 漏電による感電
このようなリスクからは、できるだけ離れるようにし安全な場所で救護にあたりましょう。
2-2. ケガ人の意識を確認する:交通事故の応急処置
(画像元:Fire Department Natori )
ひざを地面につき、ケガ人の額に手を置きます。首を固定し、もう一方の手でケガ人の肩を軽く叩きながら「わかりますか!」など呼びかけ意識の有無を確認します
意識がなければ、その他の人手を確保することも必要になります。周囲に人がいれば助けを求めましょう。
「人が倒れています、119番通報をお願いします!」
誰もいない場合には、ただちに『119番』通報で救急隊員の応援を求めます。
2-3. 意識がない場合、ケガ人の呼吸を確認する:交通事故の応急処置
(画像元:Fire Department Natori )
10秒以内で調べます。健康な成人の平均的な呼吸数は、1分間で12~20回です。よって6秒で胸やおなかの動きがなければ、呼吸なしと判断します。呼吸がない場合には、胸骨圧迫による、心臓マッサージを開始する必要があります。
ただし、ライダーの交通事故などその他目には見えない損傷も考えられます。『119番』通報で救急隊員に状況を細かく伝え、指示に従いましょう。
2-4. ケガ人のヘルメットは脱がせるべきか?
特に、ケガ人のヘルメットの取り扱いには注意が必要です。原則としてヘルメットは取り外さないほうがよいでしょう。意識や呼吸があったとしても、内部損傷の疑いもあり、頸椎の損傷がある場合にはさらに悪化させるリスクもあります。訓練をうけた救急隊でも二人がかかり慎重に取り外しを行います。
救急隊員が到着するまでは、ヘルメット越しに頭部を確保し続けるなどの処置となります。
2-5. 出血している場合:交通事故の応急処置
傷口が土や砂で汚れていれば、なるべく早く きれいな水で十分に洗い流します。
出血が多い場合は、止血をする必要があります。清潔なガーゼや布でやや強く 押さえて止血します。
このとき、骨折がないことを確認できたら、傷口は心臓よりも 高くすることで止血を促進できます。
包帯を巻くときは患部を清潔に保ち直接に血液に触れないよう注意します。感染予防としてビニール・ゴム手袋 やスーパーの袋などを利用します。
(画像元:Fire Department Natori )
2-6. 骨折している場合:交通事故の応急処置
負傷している箇所はできるだけ動かさないようにします。 痛みがある場合など、氷あるいは冷湿布を利用することでハレや痛みを やわらげることができます。
もし可能であれば、骨折した箇所は添え木を当て、動かないように固定します。腕の場合は三角巾などで固定することもできます。
身近にある添え木として、傘やダンボール、新聞や雑誌を丸めたものなどで代用することができます。
(画像元:Fire Department Natori )
2-7. 体に火がついた場合は?火傷の対応:交通事故の応急処置
体に火がついた場合には、 水や消火器で消化活動を行います。近くに、これらがない場合は、手をついて地面に転がることがもっとも効果的です。走るとさらに炎上する可能性があり、また他にも燃え移ることも想定されます。
火傷を覆った場合には、流水で患部を冷やします。 水ぶくれができることがありますが、破らないよう注意しましょう。 消毒ガーゼ、またはできるだけ清潔な布を当て包帯をします。
2-8. 精神的ショックを受けている場合:交通事故の応急処置
これまで見たこともないような痛々しい光景を目の前に、精神的ショックを受けることがあります。とくに事故当事者は体が震えたり、気が動転してしまうことがあります。
救護にあたるべき人でさえ、パニックになることはよくあることです。
アメリカでは、『STOP』『THINK』『ACTION』の3ステップが一般的です。止まって考え判断するためにも『深呼吸』が推奨されています。
パニック状態では、呼吸が浅くなり酸欠状態となり判断能力も低下します。まずは深呼吸をこころがけ気持ちを落ち着かせます。
糖分も精神を落ち着かせる作用があります。一時的ではありますが、糖など舐めることもパニックを回避するための対策の一つとなります。
3. 救急車が到着したら、伝えること
救急隊員が到着したら、次のことを伝えましょう。
- 救急隊員が到着するまでの様子
- 行った応急処置の内容
- ケガ人の情報
その他、救急隊員からの質問に答え、指示に従います。
まとめ
事故を目の間にして冷静でいられる人は稀です。しかし、ケガ人を目の前に助けられるのはあなただけです。冷静に状況を判断し、的確に処置をおこなうには『STOP』『THINK』『ACTION』をこころがけ、深呼吸で気持ちを落ち着かせましょう。
あなたの的確な行動で助かる命もあるでしょう。
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事故ってのはあってはならねぇ。事故らないためにライディング技術を磨き、万が一のために知識と訓練を積んでおくんだ。技術や知識は、自分だけじゃなく家族や仲間の命も救うことにつながる。
– ハーレー仙人 –
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